先生や知人を介しての演奏会以外でのピアノリサイタルは、本当に久しぶり(オケはコロナ前はちょくちょく行っていましたが)
今回のリサイタルは、ホールありきで選んだため(近い、評判がいい、規模が小さめ)、自分の日程と合い、値段も高すぎず、そして名前も聴いたことがあり評判も良さそうなピアニスト、ということで選んだリサイタル。
この方の演奏を、実の所、恥ずかしながらきちんと聴いたことがなかったのでした。
バッハ:フランス組曲第5番ト長調
西村朗:星の鏡
モーツァルト:ピアノソナタ第8番イ短調
休憩
ラヴェル:前奏曲
ラヴェル:水の戯れ
ラヴェル:『鏡』より道化師の朝の歌
ラヴェル:クープランの墓
アンコール
ラヴェル:ボロディン風に
ドビュッシー:前奏曲第2巻より 花火
ドラマチックで力強く、情熱が迸るような、それでいて音に深みがあって、どこか内省的思索的で、知的な印象の演奏。
控えめにいって、素晴らしかったです。
もしかしたら好みが分かれる演奏(解釈)なのかなあ、とも思いますが(よくわからない)、芸術は自己表現であるならば、この方の演奏は、まさに芸術だ、と感じました。
ラヴェルは、あまり馴染みがないのですが、彼が自分と一番近く自然体で演奏できる作曲家というだけであって、多彩で深く響く音色と表現がとても魅力的で惹き込まれました。水の戯れも道化師の朝の歌も、素晴らしかった(しか言葉が出てこない)
ラヴェルに関しては、もう一つのプログラムの方で聴いてみたかった気も(ソナチネとか亡き王女のパバーヌとか、疎い私でも好きな曲が~)
そして、前半のプログラムが個人的にはとても好みでした。
フランス組曲5番、弾きたいと思っているサラバンドと以前弾いたガボット(私の能天気な演奏とまるで違う)が聴けてとても嬉しく惹きつけられ、情熱的なモーツァルトに圧倒されました(こんなモーツァルト、聴いたことなく…ただの経験不足?)
そして、初めて聴いた「星の鏡」という曲、私は基本的にこういう、メロディらしいものがない、現代音楽系はあまり得意ではないのですが、一つ一つの印象的な美しい音の響きに聴きいってしまい、1音1音の間にある美しく張り詰めた緊張感に気がつけば、こちらも固唾を飲んで集中してしまいました(曲が短めだったのも良かった)
最後のトークも自然体で好感度が高く(笑いが起きたりするような、親密な雰囲気)、アンコールもやっぱり素晴らしく、上質な音楽をたっぷり堪能した夜でした。
会場はいっぱいで、一人で来ていらっしゃる方も多かった印象。本当に音楽が好きな方が聴きにきていらっしゃっるのかな?ファンが多いのかも。
ほんと、行って良かったです。というか、今更ながら、もっと色々な演奏会に行くべきだなあ、と思いました。
一緒に行った夫も「やっぱりプロの演奏は全然違うね~」とやや興奮気味で楽しんでくれたよう(ええ、いつも私の演奏ばかり聴いていますから)
今までは、よく隣で寝ていましたが、今回は寝なかったようで、良かった良かった^^
メンデルスゾーン ベニスの舟歌30-6(以前、コンサートグレードで弾いた…リサイクル曲)
ブルグミュラー18 ゴンドリエの歌(子供の頃、発表会で弾いた曲…最近、改めていい曲だなあ、と時々弾いてみていたもの)
最近弾いていた悲愴1楽章や愛の夢と比べると、比較的易しく、余裕をもって弾ける曲を〜と思って選曲してみたのですが、それでもやっぱり緊張してしまう不思議…。